最新情報
フランス 100フラン金貨 1878年 エンジェル EF
フランス 100フラン 1878年 エンジェル EF
直径:約34mm 重量:約33gm 金品位:0.900
発行枚数:13,000枚
エンジェル 発行期間1871-1914
皇帝ナポレオン3世が退位したのは明治維新の2年後、1870年のことだ。で、第三共和国が成立する。
第三共和国は共和国だから皇帝は存在しない。したがって、コインからは権力者の肖像画が消え、代りに主役はエンジェルとなる。
このデザインはフランス革命時のコインと同じ構図。エンジェルちゃんがごにょごにょと憲法を書いているのだが、左に権標、右にフランスの象徴の雄鶏を置き、裏面には有名なフランス革命のモットー「自由、平等、博愛」がくっきりと表示されている。
実は、このエンジェルが意味深だ。
日本にエンジェル・コインに似たものがある。日本のフリーメーソン・グランド・ロッジの玄関内の、大きな壁画レリーフだ。そっくりなのである。違いは、壁面レリーフに髪の長い女がいることだ。女は悲しそうに、香油の壺を持っている。背後で少々歳を食ったエンジェルが慰めの目で、その女の髪を握っている。
そして開かれた聖書。さらになぜか折れたゴシック調の柱が地面に転がっている。このデザインは、日本グランド・ロッジ独自のものではなく、ヨーロッパのフリーメーソンでは定番となっている。
いったい、これの意味するものはなにか?
そして女はだれか?
香油壺を持った女といえばマリアだ。キリスト教の常識である。
柱が折れ、国は荒れている。背後のエンジェルは神。キリストの死をマリアが悲しみ、神が慰める。「よしよし、みなまでいうな、私が付いているぞよ」。
なぜフリーメーソンはマリアにこだわり、壁のレリーフまで造ったのか?
思い出して欲しいのは、あのベストセラー小説、ダ・ヴィンチ・コードだ。
ダ・ヴィンチ・コードの内容はマグダラのマリアはキリストの子を産み、その子孫を守り続ける騎士こそ、フリーメーソン系のテンプル騎士団だったというものだ。日本グランドロッジのレリーフはそのままを語っているのだ。ようは、レリーフのエンジェルは、フリーメーソンなのである。
フリーメーソンの解説本、拙著『石の扉』(新潮文庫)にも書いたが、フランス革命政府とフリーメーソン組織はかなりの部分で重なっている。なにを隠そうフランス革命のモットー「自由、平等、博愛」は、フリーメーソンのシンボルなのである。
エンジェル・コインは、フリーメーソンの壁画レリーフを真似ている。
しかしコインの方は、柱も折れておらず、悲しむマリアもいない。エンジェルの独壇場だ。つまり、フリーメーソンのメタファー(隠喩)であるエンジェルが憲法を書いている構図、それ以外に解釈のしようがない。そして裏面にはフリーメーソンのモットー「自由、平等、博愛」が書かれているのである。
お分かりだろうか?
アメリカ合衆国はフリーメーソンの全能の目を、一ドル札に入れ込んだが、フランス第三共和国は、エンジェルをメタファーとして入れたのである。やりますなあ~。
さて、加治は送られてきたビザカードの通販カタログを観て仰天したことがある。チャイナのパンダ・コインだ。ビザの通販がコインを発売していたから驚いたわけではない。その高額さに、ベッドからころげ落ちるほどだったのである。
パンダ・コインはモダン・イシュー(新発行物)だからアンティークの価値はゼロ。それに毎年ほぼ30000枚は発行されており、稀少価値もほとんどない。つまり典型的な地金型コインで、そうなると価値はゴールド(金地金)の価格になる。
では、その当時(2012年、10月14日)の金の価格を見てみよう。
1オンス約13万7千円だ。してこの1オンスのパンダ・コインの定価がなんと37万6千円ときている。堂々の3倍価格。これに驚いたのである。
13万7千円を37万6千円で買う莫迦がどこにいるのか分からないが、商売が成り立っているようだから、きっと知らない人が買うのだろう、しかし二の句が継げない。
100フランのナポレオン金貨、100フランのエンジェル金貨、モナコの100フラン、その他アンティーク・コインはたくさんある。アンティークの価値、稀少性の価値、どれをとってもモダン・イシュー(新発行物)よりだんぜん得だ。
Related Posts