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フランス 50フラン金貨 1904年 エンジェル UNC
フランス 50フラン金貨 1904年 エンジェル UNC
直径:約34mm 重量:約16.13gm 金品位:0.9000
発行枚数:20,000枚
エンジェル 発行期間1871-1914
皇帝ナポレオン3世が退位したのは明治維新の2年後、1870年のことだ。で、第三共和国が成立する。 第三共和国は共和国だから皇帝は存在しない。したがって、コインからは権力者の肖像画が消え、代りに主役はエンジェルとなる。
このデザインはフランス革命時のコインと同じ構図。エンジェルちゃんがごにょごにょと憲法を書いているのだが、左に権標、右にフランスの象徴の雄鶏を置き、裏面には有名なフランス革命のモットー「自由、平等、博愛」がくっきりと表示されている。
実は、このエンジェルが意味深だ。
日本にエンジェル・コインに似たものがある。日本のフリーメーソン・グランド・ロッジの玄関内の、大きな壁画レリーフだ。そっくりなのである。違いは、壁面レリーフに髪の長い女がいることだ。女は悲しそうに、香油の壺を持っている。背後で少々歳を食ったエンジェルが慰めの目で、その女の髪を握っている。
そして開かれた聖書。さらになぜか折れたゴシック調の柱が地面に転がっている。このデザインは、日本グランド・ロッジ独自のものではなく、ヨーロッパのフリーメーソンでは定番となっている。
いったい、これの意味するものはなにか?
そして女はだれか? 香油壺を持った女といえばマリアだ。キリスト教の常識である。
柱が折れ、国は荒れている。背後のエンジェルは神。キリストの死をマリアが悲しみ、神が慰める。「よしよし、みなまでいうな、私が付いているぞよ」。
なぜフリーメーソンはマリアにこだわり、壁のレリーフまで造ったのか?
思い出して欲しいのは、あのベストセラー小説、ダ・ヴィンチ・コードだ。
ダ・ヴィンチ・コードの内容はマグダラのマリアはキリストの子を産み、その子孫を守り続ける騎士こそ、フリーメーソン系のテンプル騎士団だったというものだ。日本グランドロッジのレリーフはそのままを語っているのだ。ようは、レリーフのエンジェルは、フリーメーソンなのである。
フリーメーソンの解説本、拙著『石の扉』(新潮文庫)にも書いたが、フランス革命政府とフリーメーソン組織はかなりの部分で重なっている。なにを隠そうフランス革命のモットー「自由、平等、博愛」は、フリーメーソンのシンボルなのである。
エンジェル・コインは、フリーメーソンの壁画レリーフを真似ている。しかしコインの方は、柱も折れておらず、悲しむマリアもいない。エンジェルの独壇場だ。つまり、フリーメーソンのメタファー(隠喩)であるエンジェルが憲法を書いている構図、それ以外に解釈のしようがない。そして裏面にはフリーメーソンのモットー「自由、平等、博愛」が書かれているのである。
お分かりだろうか?
アメリカ合衆国はフリーメーソンの全能の目を、一ドル札に入れ込んだが、フランス第三共和国は、エンジェルをメタファーとして入れたのである。やりますなあ~。
ヨーロッパ人は過去の経験で、当面必要な資金以外は銀行預金をあまりしない。たいがいアンティーク金貨に代えてのタンス預金だ。だから銀行によっては窓口で、本日のアンティーク・コインの相場が掲示され、その場で換金できるのだ。ごっそりとキャッシュで預金しているのは世界広しといえども日本人だけだ。経済をも考えず、なんとなく、惰性で預金しているだけなのである。目覚めよ、日本人!
50フランは、100フランを半分に縮尺したものだが、発行枚数が20,250枚と稀少なために、値段は100フランと較べて1万円しか違わない。いつも言っているのだが、これが稀少性だ。少なければアンティーク・コインは高くなる。
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